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【実録】40代が特別養護老人ホームで働くリアルな体験談

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渡邊

お疲れさまです。

40代・現役「介護福祉士」の渡邊(黒歴史プロフィールはコチラ)です。

介護の仕事リアルな体験談第一弾は「特別養護老人ホーム(特養)」です。

この記事では、特別養護老人ホームで実際に働いているTさん(46歳:男性)のリアルな体験談を、介護職未経験の方にもわかりやすい視点でご紹介しています。

 

この記事を読んでいただくことによって、特別養護老人ホーム(特養)で介護職として働くということはどういうことなのか、ということを具体的に理解していただけます。

 

介護の現場の中でもとくに忙しいといわれている特別養護老人ホームの現場。

大変だけれど、特養で経験を積めばどこの介護の現場でも働けるといわれています。

実際にはどのような仕事内容で、どのような感じに働くのでしょうか。

 

介護技術の勉強会で知り合った、勤続3年目の友人のTさんにリアルな特養の現場を話していただきました。

ボク(渡邊)自身も2年半特養で働いていた経験がありますが、同族経営のブラック施設(プロフィール参照)であったためあまり参考にならないと思い、Tさんに体験談をお願いしました。

 

40代・介護職未経験・無資格で特別養護老人ホームで働くことになった私の経緯

はじめまして。
Tと申します。

私は43歳で運送業から介護業界に転職をしました。

 

介護職への転職の理由は、ワンマン経営だった社長が突然亡くなってしまい、勤めていた会社が倒産してしまったからです。

同業への転職も考えましたが、運送業界はブラックな職場が多いため、体力・気力とも衰えてきた40過ぎの自身の体を考えあきらめることにしました。

 

しかし、運転免許以外に転職に有利な資格のない40代での転職活動は非常に厳しい状況でした。

重い空気が霧のように立ち込めるハロワークに毎日通い、むくわれない履歴書を書き続ける日々……。

 

無職のため時間をもてあまし、ドラマのように公園で缶コーヒーを手に呆然とする日々……。

もう二度と、あんなに生きていることが不安な毎日を送りたくはありません。

 

43歳で飛び込んだ介護の職場は(*)従来型多床室の特養でした。

(*)従来型多床室
古い特養に見られる居室が4~6人相部屋タイプのこと。
近年建てられた特養の居室は「個室」タイプが主流。

 

転職に先立ち介護の仕事についていろいろと調べていたため、特養の仕事は大変だということは分かっていました。

ですが、養わなくてはならない家族(妻・中学3年生の娘)があるため、介護の仕事の中でも比較的給料のいい特養を選びました。

 

ちなみに、現在の私の平均月給は29万円(諸手当含む)です。

特養の中でも給料は良い方であると思います。

 

特養での仕事は一言でいうと「めっちゃ忙しい」です。

移動するときは常に早足です。

 

2015年から国の方針で介護度が高い(要介護3~5)方に入所資格があるため、「排泄介助」「入浴介助」「食事介助」の3大介護の量も必然的に高いです。

また人手不足ということもあり追い立てられる毎日です。

 

仕事はシフト制の不定休です。

・「早番」6:45~15:15
・「日勤」8:45~17:15
・「遅番」11:30~20:00
・「夜勤」16:45~9:15

の4交替制です。

 

基本的には早番:2名、日勤:1~2名、遅番:2名、夜勤:2名で、約40名の利用者の方介護業務をおこなっています。

介護業務は「排泄介助」「入浴介助」「食事介助」の三大介護が中心です。

特養での三代介護の具体的な仕事内容を解説します。

 

特養での「排泄介助」「入浴介助」「食事介助」の三大介護

 

私の勤める特養には、軽度の認知症の方までが対象の「一般棟」と、重度の認知症の方までが対象の「認知症棟」があります。

私は入職当初から認知症棟の配属であるため、(注)介護度3~5の中等度~重度の認知症高齢者の方々の三大介護の内容についてお話をさせていただきます。

 (注)2015年以前は介護度1以上の方が入所対象でしたが、2015年より特養の入所条件が厳格化され「介護度3~5」の方が対象となりました。

そのため、特養の現場では介護度が重い方が年々増えてきているというのが現状です。

 

 排泄介助について

認知症棟での排泄介助は、日中はオムツ交換約5割、トイレ誘導約5割です。

夜間になるとオムツ交換の必要な方の割合が6~7割に増えます。

オムツ以外の方はリハビリパンツ対応で、布製のパンツを利用されている方はいらっしゃいません。

 

歩行が自立されている方でも、尿意便意がなく、トイレ誘導の拒否が強い方がいらっしゃるため、そのような方にはオムツをさせていただき、定時に交換をおこなっています。

中等度~重度の認知症の方を対象としている認知症棟の排泄介助の特徴の一つが、「弄便(ろうべん)」=「排泄した便をいじってしまう行為」が多くみられることです。

 

これは一般棟と比べると明らかに多いです。

夜間のオムツ交換時に、ベッド上で弄便行為が見られた時の排泄介助はとくに大変です。

弄便をされた高齢者の方の体の洗浄はもちろんのこと、便が付着してしまったパジャマ・ベッド柵・掛布団・シーツ・壁・カーテンなどの洗浄もしなくてはならないからです。

 

頻回に弄便行為が見られる利用者の方には、オムツ交換の回数を増やすなどの対応をしているのですが、やむを得ない場合は一時的に「つなぎ服」(オムツ内に手が入れらないように作られた服)や「ミトン」(ふくろ状の手袋)をさせていただき対応をしています。

 

職員用の食堂などで一般棟で働かれている介護職員の方々の話をきくと、認知症棟での排泄介助のほうが大変だな……という印象を受けます。

 

認知症棟配属一年目は、対応しなくてはならない排泄介助の量と種類にいっぱいいっぱいでした。

ですが配属3年目となった現在は、自分でも驚くほどスムーズに対応ができるようになってきています。

 

入浴介助について

介護度が3~5の利用者の方のが多いため、必然的に入浴介助の量も多くなります。

入浴の種類は「機械浴」と「一般浴」の二つに分けられます。

 

機械浴は特浴とも呼ばれ、洗身・洗髪・浴槽の出入りなどの入浴動作に、全介助かまたはそれに近い介助が必要な方が対象の入浴介助の方法です。

私の勤める特養は(注)運営年数が長いこともあり、利用者の方のほとんどが介護度3~5の方です。

そのため、機械浴対応の利用者の方も多く、昨年から機械浴を一台増やし3台で対応しています。

(注)特養は入所すれば人生の最後まで住み続けることができる(終の棲家)です。

そのため、「運営年数が長い=長期間入居されている方が多い=介護度が重くなる」という傾向がみられるのです。

 

機械浴対応の全介助が必要な方の、更衣介助(衣類の着脱)・オムツ交換・看護師の方と連携した医療的な処置も大変ではありますが、認知症棟の入浴介助の大変さは動ける方で入浴拒否の強い認知症の方の「一般浴」での入浴介助にあります。

認知症の方は入浴を拒否される方が多いのです。

 

重度認知症のため入浴して清潔をたもつという状況を理解することが難しく、「他人の前で服を脱ぐ」「他人に服を脱がされる」ということに、強い抵抗を感じられている部分が大きいようです。

 

なので、お風呂に入って清潔になり気持ちよくなれること、悪意はないことを丁寧に説明しても、なかなか理解をしていただけません。

そのような方々を言葉は悪いですが、だましだまし浴室へ誘導し、更衣介助をおこない、洗身洗髪をおこなうのは一苦労です。

 

手足が自由に動くため、脱衣介助をしようとしても服をつかんで離さない、洗身洗髪をしようと思っても、手を振り払われてしまう……。

認知症の方の気持ちが理解できていない、私自身がまだまだ介護職として未熟な部分も大きいと思います。

 

先輩ベテラン介護職員のある方は、いつもは入浴拒否が強い利用者の方を、実にスムーズに気持ちよく入浴していただく技術を持っています。

思わず「ほぉ~……」と、感嘆の息が漏れてしまうほどです。

 

認知症の方々の入浴介助は大変ではありますが、強く入浴を拒否されていた利用者の方から、別人のような笑顔で「やっぱりお風呂は気持ちいいねぇ~」という言葉がきかれたときには、救われたような気持になります。

 

食事介助について

食事介助とは具体的には「スプーンなどで食べ物を口元へ運ぶ」「吸い飲みやストロー付きのコップなどを口元に運び水分補給を促す」ことです。

基本的に特養は介護度が高い利用者の方のが多いため、食事介助の割合も必然的に高くなります。

 

私が働いている認知症棟の入所者の方は約40名なのですが、食事介助が必要な方は半数の約20名、食事動作はおこなえても食べ物で遊んでしまったり、誤嚥(ごえん=水分や食べ物が気管に入ってしまうこと)の可能性が非常に高いため、常に見守りが必要な方が約10名です。

 

なので、介護職員一人で4~5名の方の食事介助をおこないながら、食堂全体に気を配っています。

本来であるならば、食事というものは料理の色合いや味、香りなどを楽しみながら、ゆったりとした時間の中でくつろぎながらおこなうものです。

 

特に、特養などの介護施設に入所され、自由が限定されている利用者の方々にとって食事は数少ない楽しみの一つです。

ですが、世間一般に介護業界のネガティブな部分ばかりが広まってしまい、介護職のなり手が少なく、現場は常に人手不足な状態です。

そのような環境で、利用者の方々にゆったりと落ち着いて食事を楽しんでいただける、食事介助という介護サービスを提供できていないのが現状です。

 


Tさん、貴重な体験談、ありがとうございました。

 

まとめ

特養での介護の仕事は大変ですが、特養で働いた経験があれば、どの介護の現場でも働けるといわれているほど介護スキルが身に付きます。

ですが、入所されている利用者の方は、基本的に65歳以上で介護度3~5と介護量が高い高齢者の方々です。

 

心身ともに厳しい現場ですので、10~20代の方にはオススメできますが、40代・未経験の方にはあまりオススメはできません

渡邊

定期的に体を鍛えていて体力に自信があり、精神面でもタフな方で、それなりの給料がほしいという方ならば、転職先の一つとして考えるのもありだと思います。

 

40代・介護職未経験・無資格の方にオススメな介護の現場は、「介護付き有料老人ホーム」か「老人保健施設(老健)」です。

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こちらの記事で未経験の方にもわかりやすいように解説しています。

 

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