40代の介護職転職 種類別介護の仕事

介護職未経験者が「グループホーム」で働くメリットとデメリット

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渡邊

お疲れさまです。
40代・「現役」介護福祉士の渡邊です。

この記事では、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)をあなたが就職先に選ぶうえで、知っておくべき「メリットとデメリット」について簡単に理解できるよう解説しています。

40代・介護職未経験・無資格でのグループホームへの転職はアリなのか?ナシなのか?

判断材料になるよう情報を集め構成をしています。

 

40代・無資格・未経験の方へのグループホームのオススメ度

★★~★★★★/5段階評価

★★
・家事が不得意or経験がない方。
・「身体介護」の基本を身に着けたい方。
・多くの利用者の方々とかかわって幅広く介護を学びたい方。
・家庭を支えるためにしっかりと稼ぎたい方。

★★★★
・家事全般が得意な方。
・「認知症」について深く学びたい方。
・少人数の利用者の方にじっくりとかかわる介護がしたい方。
・ある程度家計の足しになる額だけを稼ぐことができればいい方。

 

この情報をまずはじめの判断基準にして頂きたいと思います。

「家事の得意・不得意」が、グループホームへの転職の向き・不向きの大きな要因の一つとなります(この理由については、以下の記事にて詳しく説明をしています)。

なので「女性の方がグループホームへの転職に向いている可能性が高い」といえます。

ですが男性の方でも、超高齢化社会である日本で今後も増加し続けるいわれている、「認知症」の介護について深く学びたいという方には、転職先の一つとして候補に入れることもアリだといえます。

ただ注意しなくてはならないのは、グループホームの給料は介護の仕事の中では安い傾向があるということです。

正社員として採用され、家族が安定した生活を送るための給料を稼げるグループホームは少数です。

 

グループホームで働くメリットとデメリット

メリット
・身体的な負担が少ない。

・少数の利用者の方々と家族的な介護ができる。

・認知症について深く学ぶことができる。

 

デメリット
・身体介護技術を学ぶ機会が少ない。

・他の介護施設よりも給料が少ない。

・人間関係の密度が濃い。

・認知症の方の行動を理解できない可能性がある。

メリットとデメリットについて詳しく解説する前に、グループホームとはどういうものなのか要点を絞って解説します。

 

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?

・「認知症専門」の地域密着型の介護施設。

・入所されている利用者の方は「認知症」である(*1)介護度「要支援2」以上で65歳以上の高齢者。

・主な仕事は認知症の利用者に方々の(*2)生活・身体介助。

・入所者数は(*3)1ユニット(5~9名)で最大2ユニット(18名)までの小規模な介護施設。

 

(*1)介護度「要支援2」以上で65歳以上の高齢者

介護度は軽いほうから「自立:要支援1・2:要介護1~5」となっています。

つまり、「要支援2」ということは介護度としては「比較的軽い」ということになります。

基本的にはグループホームの入所者の方は、集団生活をおこなえる「軽度の認知症」の方が対象です。

集団生活が困難な重度の認知症の方は対象外であるということです。

しかし近年は認知症の高齢者の増加に伴い、中等度~重度の認知症の方も受け入れるグループホームも増えてきています。

 

(*2)生活・身体介助

基本的には利用者の方と共に食事を作ったり、掃除や洗濯をしたりという、作業困難な部分をサポート(生活介助)しながら、認知症の進行を予防するという介護が基本です。

入浴や排泄の介助(身体介助)も行いますが一部介助で、特別養護老人ホームのような全介助は基本的にはおこないません。

 

(*3)1ユニット(5~9名)で最大2ユニット(18名)までの小規模な介護施設

ユニットとは「入居者の単位」です。

1ユニットは5名以上・9名以下で、一つのグループホームの入所者数は2ユニットまで(18名まで)と国の基準で定められています。

つまり、特別養護老人ホームや介護老人保健施設のように、高齢者の方が100名以上入所されているような、大規模介護施設ではないということです。

 

グループホームで働くメリット

 

 

身体的な負担が少ない

特別養護老人ホーム(特養)の場合、介護度4~5の入浴や排泄に全介助が必要な利用者の方が多く入居されています。

そのため、介護職の職業病である「腰痛」に悩まされるリスクは高いです。

しかしグループホームの場合、基本は一人で歩いて移動される方がほとんどです。

つまり、身体的な介助量が少ない方が多いのです。

介護度が重い方が入居されていたとしても、1ユニット最大9名の利用者数なので身体介護量は必然的に少なくなります。

また、大規模施設のように広くないため、ナースコール対応時に常に速足である必要もありません。

40代で体力的に不安要素が多い方には、グループホームを転職先の一つとして考えることもアリといえるでしょう。

 

少数の利用者の方々と「家族的」な介護ができる

グループホームの大きな目的の一つは、認知症の利用者の方に「家庭に近い環境」で、安心して介護を受けることができる場所を提供することです。

つまり、特養のように入所者の方が全体で100名以上で、一つのフロアで50名近くの利用者の方の介護をする環境とは異なり、家族的な雰囲気の中で介護をすることができるのです。

大規模施設では時間的・人員的要因から、どうしても施設のスケジュール(食事・排泄介助の時間など)に合わせたものとなってしまいがちです。

しかしグループホームではできる限り、一人一人の利用者の方の心身の状態に合わせた介護を提供することができます。

 

認知症について深く学ぶことができる

グループホームは利用者として一度入所すれば、病気や転倒などのけがなどで状態が悪くならない限り入所し続けることができます。

グループホームによっては、看取り(人生の最後まで介護を行う)まで対応しているところもあります。

大規模介護施設とは違い、1ユニット9名以下の認知症の利用者の方々と関りあう中で、非常に奥が深い「認知症介護」について学ぶことができます。

認知症については専門書も多く発行されていますし、勉強会も様々な団体で数多く開かれています。

また、3年以上実務経験を積めば、認知症に特化した資格「認知症ケア専門士」を取得することができます。

この資格はまだ一般的ではありませんが、日本では認知症の高齢者の方は今後も増え続けることが予想されているため、取得して損はない資格といえるでしょう。

 

グループホームで働くデメリット

 

身体介護技術を学ぶ機会が少ない

今後も認知症の方が増え続けることが予想される超高齢化社会である日本では、介護職として働く上で認知症について深く学ぶことはいい機会であることは間違いありません。

ですが、グループホームでは認知症のことは深く学ぶことはできても、介護の基本となる3大介護といわれる「排泄介助」「入浴介助」「食事介助」については、幅広く学ぶことはできません。

その理由は、認知症ではあっても身体的には介助の必要性が少なく、歩いてトイレに行ったり、自身で体を洗ったりすることができる利用者の方が多いということがまずあげられます。

また、1ユニット9名以下の少数の利用者の方のみの対応ということになるため、幅広く様々な介護が必要な状態の利用者に接する機会がない、ということも理由の一つです。

なので介護職としてステップアップを考え、再び転職をすることとなった場合、強い介護職経験とはなりにくいことが考えられます。

 

他の介護施設よりも給料が少ない

グループホームは利用者の方が少人数であるがゆえに全体の収入が少ないため、人件費に充てられる額は少なくなってしまいます。

そのため、正社員としての採用も少なく、無資格・未経験の方は派遣かパート職員としての採用がほとんどです。

40代・無資格・未経験の女性の方で、

・大規模施設での介護は体力的についていけるか不安。

・得意な家事全般を生かした介護の仕事がしたい。

・旦那さんの給料の足りない分の助けになる程度稼げればいい。

という方には、グループホームの仕事は向いているといえるでしょう。

例外として、特別養護老人ホーム(特養)や大病院に併設されたグループホームの場合は、給料は特養や病院と同額である場合が多いため、グループホームで働きたい思いが強い方にはねらい目であるといえます。

 

人間関係の密度が濃い

グループホームは入居されている利用者の方が、1ユニット5~9名と少人数ですので、働いている介護職員も少人数です。

といことは、対利用者・対職員同士の人間関係が濃くなる=人間関係で悩む確率が高くなるということが考えられます。

利用者の方が認知症であるとわかっていても、暴言を吐かれたことを気に病んでしまうことがあります。

そのような場合も時間的・物理的に距離をとることにより、不快な思いを忘れたり、薄められることができます。

介護老人保健施設介護付き有料老人ホームなどの大規模施設の場合は、利用者の方も多く建物も広いため、時間的・物理的な距離をとることが可能です。

しかしグループホームの場合は、普通の一軒家のように小規模・少人数の介護施設であるため、それが難しいのです。

他人とはある程度距離感があったほうがいいという方には、グループホームでの仕事は向いていません

 

認知症の方の行動を理解できない可能性がある

認知症の症状は本当に多種多様で驚くことも多いです。

少し具体例を挙げますと、

収集癖

・トイレットペーパーをきれいに折りたたんで、大量に衣類の中にしまい込む。

=トイレットペーパーが無い!と他の利用者の方からクレームがおこります。

=衣類が異様に膨らんでいるためチェックすると、大量のトイレットペーパーが出てくることがあります。

 

・他人の物でも自分のものと勘違いしてしまい、自身の部屋に持ち帰ってしまう。

=しばしば、あの人に物を取られた!と他の利用者の方からクレームがおこります。

=他人の入れ歯やバッグを持ち帰ってしまうことがよくあります。

 

夕暮れ症候群(帰宅願望)

・朝から昼時まではなごやかに家事作業やレクリエーションをして過ごされていた方が、夕暮れ時になると徐々に表情が険しくなってソワソワしだし、「こんなところで遊んでばかりはいられない。そろそろ夕ご飯の支度をしなくちゃ……帰らせてください!」と繰り返し訴えられます。

「ここ(グループホーム)が〇×さんのお家なのですよ」と説明しても受け入れません。

 

このようなやり取りが毎日必ずといっていいほど繰り返されます。

この認知症の方々の気持ちを理解しようと努め、寄り添うことは簡単ではありません。

身体介護は得意でも、認知症の方の対応は苦手という介護職の方もいます。

人には向き不向きがあるため、自身に合った介護の職場選びをよく考えてする必要があります。

 

まとめ

あたながグループホームを転職先に選ぶ際の、メリットとデメリットをご理解いただけたかと思います。

グループホームでの仕事は、認知症に特化した介護技術を身に着けるには最適ですが、幅広い介護技術を身に着けるのには不向きな現場です。

また、給料も安いところが多いというのも、大きなマイナス要因であるといえます。

将来的に介護職としてステップアップ(給料アップ)していくことを考えると、40代・介護職未経験・無資格の方には、あまりお勧めできる職場とは言えません

介護職としてどのように働きたいのか?

どのような将来像を描いているのか?

このことによって、グループホームへの就職・転職はアリなのか、ナシなのかが変わってくるといっていいでしょう。

渡邊

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