お疲れさまです。
40代・「現役」介護福祉士の渡邊です。
「介護の仕事リアルな体験談」第五弾はグループホームです。
その記事ではグループホームで現在も働いている、勤続2年目のMさん(女性:40代)の体験談をご紹介します。
Mさんのことは友人に紹介してもらい、話をきかせて頂きました。
この記事を読み終えるころには、グループホームで介護職として働くということはどういうことなのか、ということが理解していただけると思います。
それでは、よろしくお願いします。
グループホームでのMさんのお仕事体験談
はじめまして。
Mです。
私のグループホームでの体験談が、あなたの転職のお役に立つこととなれば幸いです。
介護の仕事を始めることとなったきっかけは旦那のリストラです。
リストラ後さんざん仕事探しをして、なんとか以前と同じ業界の仕事に転職することはできましたが、給料はだいぶ下がってしまいました。
高校生の息子がいるため、今後大学や専門学校に進学する学費を私が稼がなくてはならなくなってしまったのです。
しかし私には大学卒業後数年の事務職の経験しかありません。
転職に有利な資格など持っていません。
特別な資格がなくても、女性でもある程度の金額を稼ぐことができる仕事=介護の仕事、という経緯で介護業界に足を踏み入れることとなりました。
基本的に心配性な性格のため、介護業界への就職についてネットで詳しく調べました。
グループホームを選んだ理由は、私の得意な「家事」を生かせる現場だと思ったからです。
ネットで調べた結果、介護系の仕事探しはハローワークよりも、介護職専門の就職・転職支援サイトを利用するほうが良いということだったので、2サイトに登録して就職活動をおこないました。
複数の介護職専門の就職・転職支援サイトに登録した理由は、就職に失敗したくはなかったからです。
じっくりとそれぞれのサイトのサービスの質について比較・検討し、納得の上で就職先を決定したかったのです。
グループホームの待遇
給料は手取り17万円/月です。
満足いく額とは言えませんが、得意な家事を仕事に活かせて、認知症の利用者の方々の介護もあまり負担と感じないため、まぁ良しとしようという感じです。
現在は正社員として働かせていただいていますが、はじめは紹介予定派遣としての採用でした。
介護職員初任者研修を取得後、正社員として採用していただきました。
介護職員初任者研修の資格は【シカトル】で資料請求をして取得しました。
余談になりますが、介護職員初任者研修の資格を取得する場合は、各学校の「受講料」「サービス内容」について、じっくりと比較検討をすべきだと思います。
なぜなら、介護職員初任者研修の資格取得のための学校は数多くあり、学校によっては受講料に数万円の差があるからです。
生活にいろいろと事情がある家庭にとって、数万円の差はとっても大きいですよね。
情報収集をして比較検討せずに、適当に学校選びをしてしまうと、あとから非常に後悔してしまうことになるため注意が必要です。
介護系専門の就職・転職支援サイトの一つ、かいご畑ではスタッフ登録することにより、介護職として働く上で必須な資格である、介護職員初任者研修・実務者研修の資格を無料で取得できる制度があります。 |
グループホームの仕事についてはじめてわかったことの一つに、「私は認知症の方々と楽しく過ごせる性格」であるということがあります。
なので、仕事は大変でもストレスはあまり感じません。
夜勤手当は一回5,000円です。
グループホームの手当の額としては良いほうです。
夜勤は一月に5~6回あるため、25,000~30,000円のプラスになります。
夜勤は大変ですが、稼ぐことができるため有難くもあります。
サービス残業は一月に10時間前後あります。
グループホームは有料老人ホームや介護老人保健施設などの大規模施設とは違い、少人数の職員で勤務を回している(一日4~5名)ため、不測の事態やトラブルが起きたとき、どうしても時間外勤務となってしまいやすい傾向があります。
有休は希望すればとることはできますが、少人数の職員で業務を回しているため、積極的には取りにくいというのが正直なところです。
しかし、リーダーの方が非常にしっかりしていて、入居者の方・各スタッフに上手に気を配ることができる方なので離職率は低いです。
入職して2年目ですが退職された方はいません。
グループホームの勤務体系
年間休日数は108日です。
決して多いとは言えませんが、介護業界では平均的な休日数だと思います。
勤務はシフト制の不定休(4週8休)です。
・「早番」7:30~15:30(1名)
・「日勤」8:45~17:15(1~2名)
・「遅番」11:30~19:30(1名)
・「夜勤」17:00~9:00(1名)
の4交替制です。
早番~遅番は複数のスタッフで介護を行うのですが、夜勤は1ユニット、9名の利用者の方々を1人で対応しなくてはならないところが大変です(基本グループホームの夜勤は1名体制です)。
グループホームによっては2ユニット、18名の利用者の方々の対応を1人で行わなくてはならないところもあります。
利用者の方々の介護度が軽く、認知症症状が落ち着いていている場合ならば2ユニットを1名体制で夜勤をおこなうこともありだとは思います。
しかし、そうでない場合はナースコールに振り回され、休憩もろくに取れないという話をききます。
グループホームに就職を考えている方は、給料・福利厚生などの待遇面のほかに、入居者の方は何名で、夜勤は何人のスタッフで対応するのか、入居者の方の認知症の重さはどの程度なのかを必ず確認するようにしましょう。
グループホームでの仕事内容
うちのグループホームは看取り(人生の最後まで介護をおこなうこと)をおこなっていないため、病気やケガなどで介護度が重くなってしまった利用者の方は、特養(特別養護老人ホーム)や有料(有料老人ホーム)などに退所しなくてはなりません。
なので入居されている利用者の方々は自立度の高い軽度の認知症の方々です。
そのため、三大介護といわれる「排泄・入浴・食事」介助はあまりおこないません。
おこなうとしても一部介助です。
介護職としてのメインの仕事は入浴・排泄の一部介助と、利用者の方と共におこなう「料理・洗濯・掃除」などの生活介助と、レクリエーションです。
それぞれの仕事内容について具体的にお話しします。
入浴・排泄の一部介助
併設する老健(介護老人保健施設)のような立派な入浴設備はありません。
一般の家庭にあるような浴槽と手すりとシャワーが付いている浴室です。
そこで、転倒の危険性が高い方や洗身・洗髪が不十分だと思われる方の一部介助をおこないます。
1/3の方はほぼ自立されているので、声掛けと見守り(安全確認)のみです。
排泄介助は失敗して汚してしまった方の清拭(蒸しタオルで拭いて清潔にすること)やパンツ(リハビリパンツ=紙パンツ)やズボンの更衣介助をおこなったり、「そろそろおトイレに行きませんか?」と声掛けをおこなったりをします。
私は認知症の方と接する仕事が好きなので、この先もずっと続けるつもりなのでいいのですが、身体介護の機会は少ないため、基本的な介護技術を身に着けたいと思う方には不向きな現場かもしれません。
「料理・洗濯・掃除」などの生活介助
洗濯では洗濯物を干したり、取り込んだものを畳んだりする作業の過程で、利用者の方々とコミュニケーションをとり、作業を通して体を動かし、精神的な達成感が得られるように気を配っています。
掃除では掃除機をかけてもらったり、テーブルや棚などの拭き掃除行っていただくのを、転倒などの危険がないよう見守りながら一緒に行います。
一番のメインとなるのが「料理」です。
一日に3回あり、メニューも毎回異なるからです。
男性や料理の経験がない方には、大きな壁となってしまうかもしれません。
洗濯や掃除をこなすことはできても、「高齢者の方々の好む料理を作る」という壁は簡単には超えにくいと思うからです。
(注)男性や料理の経験がない方でも働くことができるグループホームについても、この記事の下方で解説しています。
うちのグループホームでは、スーパーのチラシを見ながら利用者の方と共にメニューを考え、2~3名の方と買い物に行きます。
買ってきた食材を「利用者の方に教わる」という形をとりながら調理します。
教わるという形をとっていますが、料理の仕方は職員が理解していないといけません。
利用者の方は認知症なので、ところどころ間違いがあったり、工程を忘れてしまって作業が滞ってしまうことがよくあるからです。
職員が全て行ってしまうのは簡単(半分以下の時間で済みます)ですが、それでは認知症の方々のためにならないので、なるべく利用者の方に作業をしていただくよう促します。
私が入職する以前は、併設する老健(介護老人保健施設)の厨房で料理されたものが配食されていたそうですが、それではグループホームの意味がないというリーダーの意向で、利用者の方と一緒に作る方法に代わりました。
利用者の方々との料理はやりがいはありますが、正直大変です。
それなりの料理の知識と経験、手際の良さが求められます。
グループホームでは基本的には、「食事の準備は利用者の方と一緒に行う」ということになっています。
その理由は、グループホームの基準省令第99条第3項の規定に「利用者の食事その他家事等は、原則として利用者と介護従業者が、共同で行うよう努める」と定められているからです。
ですが、利用者の方と料理をしない・料理の必要がないグループホームも実は多くあるのです。
料理が苦手でも、少人数の認知症の方々を対象とした介護の仕事、グループホームで働きたいという方は、グループホームの「料理の提供体制を知る」ことで料理の壁をクリアーできることがあります。
利用者の方と自炊をしないグループホームの食事の提供方法として、
・業者から出来合いのものが配食される(料理の必要は全くありません)。
・ご飯とお味噌汁のみつくり、主菜・副菜はスーパーなどで出来合いのものを購入する(ご飯を炊くのとお味噌汁を作るのはすぐに覚えられます)。
・併設する老健(介護老人保健施設)や特養(特別養護老人ホーム)の栄養士の方が作成したメニューと共に食材が提供され、利用者の方と多少のアレンジを加えながら料理をする。
という形もあるのです。
それぞれのグループホームの料理の提供方法について確認してみるとよいでしょう。
レクリエーション
認知症高齢者の方のレクリエーション(レク)としては一般的な手芸(編み物・折り紙)やカラオケ、散歩や映画鑑賞会、転倒予防体操をおこなっています。
曜日ごとにレクのプログラムが組まれていて、担当となった職員が実施します。
同じプログラムが続くとつまらないといわれてしまい、職員のモチベーションも下がってしまうため、毎月職員会議でレクのアイデアを出し合いながら内容の変更をおこなっています。
うちのグループホームではその他に、認知症の改善に効果があるとされている「回想法」を毎週実施しています。
回想法とは昔の懐かしい物や写真、画像をみて思い出を語り合うことによって、脳を活性化させ精神の安定化を図る心理療法です。
といっても難しいものではありません。
通信教育で心療回想士5級の資格を取得したリーダーに方法を教わり、グループホームの全職員が行うことができています。
すべての認知症対応型のグループホームがうちのような体制ではありません。
グループホームによっては、重度の認知症の方の受け入れをおこなっていたり、看取りまで対応しているところもあります。
そのようなところでの介護職員の仕事は、ウチとはまた違った仕事内容となります。
40代目前にして介護職全くの未経験、無資格で飛び込んだグループホームの現場。
正直はじめは驚くことばかりで、「私に勤まるのだろうか……」と不安でいっぱいでした。
ですが、3ヵ月もすると認知症の入居者の方々と食事の準備をしたり、買い物に行ったり、お掃除を手伝っていただいたりすることが楽しくなっていきました。
そのころリーダーの方からも、「Mさんはこの仕事向いてるね」とほめていただいたことをいまでもよく覚えています。
40代間近で人からほめられる経験てあまりないので、とても嬉しかったのです。
ただ、グループホームでの仕事は万人に進められるかというと、そうではありません。
とくに40代・介護職未経験の男性の方には、料理の壁や身体介護の技術がなかなか身につかないという点からお勧めできません。
40代・介護職未経験であっても、家事全般が得意で認知症の方の介護に興味があり、給料よりも身体的な負担を少なくすることを重視したいという方には、グループホームでの仕事はお勧めです。
まとめ
いかがでしたか?
グループホームの介護の仕事内容を理解していただけたかと思います。
少人数の認知症の方を対象としたグループホームの仕事は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設のような大規模施設とは違う、「利用者の方と深くかかわることができる」介護の仕事です。
そこには認知症について深く学ぶことができる、人としてじっくりとかかわることができるというメリットがある反面、少人数であるがゆえに人間関係が濃くなりやすく、そこに問題が生じやすいというデメリットもあります。
また、利用者の方が少なく介護度も軽い方が中心のため、身体介護技術について学ぶ機会が少ないという点にも注意が必要です。
グループホームへの転職は、40代・介護職未経験・無資格の方がはじめての介護職の現場に選ぶのには、リスクがあるということを知っておきましょう。
ただし、体験談を話してくださったMさんのように、介護職未経験でも家事が得意で、認知症の利用者との関りに喜びを見出せるような方であれば、身体的な負担が少ない(腰痛で悩まされるリスクの少ない)グループホームの仕事を選択肢の一つとして考えるのは、十分にあるであると思います。
>>グループホームについてもっと詳しく知りたい方は、知っておくべき「グループホーム」で働くメリットとデメリットという記事で簡単に理解できるようまとめてありますので、そちらも併せてお読みください。
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