転職活動お疲れさまです。
40代・「現役」介護福祉士の渡邊です。
この記事では、Nさんと渡邊が作成したADHDの方の安心して転職活動を進めるためのアイテム、「ADHDの方専用|求人票・面接・施設見学時チェックシート」について介護職未経験の方にも理解しやすいように解説しています。
>>関連記事:【ADHDで転職を繰り返した40代男性が介護の仕事で見つけた生きる道①】Nさんが40代で介護職に転職するまでの大まかな流れを解説しています。
ADHDの方専用|求人票・面接・施設見学時チェックシート
介護職専門の転職支援サービスに登録すると、専属のキャリアアドバイザーの方が希望条件に合う求人情報を探してくれるだけではなく、履歴書の添削・面接時の同行・待遇面の交渉もしてくれるので安心ではありますが、すべて人任せという姿勢はいけません。
「私はこういう待遇・環境で働きたい」という意識を明確にしておく必要があります。
かといって、はじめての介護の仕事への転職であり、考えを整理して冷静沈着に物事を進めるのがADHDの方は苦手な場合が多いです。
そんなADHDの方の助けになればと思い『ADHDの方専用|面接・施設見学時チェックシート』を作成しました。
求人情報チェック・面接・施設見学前にこのチェックシートを利用して、頭と気持ちを整理していただければと思います。
介護業界への転職であなたが失敗してしまわないよう、後悔をしてしまわないように願っています。
◎チェックシートのダウンロードはこちら
⇒PDF「ADHDの方専用|求人票・面接・施設見学時チェックシート」
プリントアウトしてお使いください。
以下にチェックシートの各項目について分かりやすく解説しています。
チェックシートを効果的に活用するために、必ずお読みください。
求人情報チェック時
1:基本給の額
基本給が高いに越したことはありません。
ですが、理想を高く持ちすぎてしまうと、せっかくのチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。
キャリアアドバイザーの方とよく話し合い、「現実的な金額」について明確にしておきましょう。
2:年間休日数(理想は112日)
年間休日数105日以下のところは絶対に選ぶべきではありません。
仕事で疲れやすいADHDの方にとって、ある意味休日の確保は給料の額以上に大切な事だからです。
疲労がたまるとADHD特有のケアレスミス(うっかりミス)が頻発してしまいます。
そして利用者の方に迷惑をかけ、信用を無くし、どんどん自信を喪失していってしまいます。
仕事は長く続けてこそ安定した生活、周りからの信頼=自信を獲得することへとつなげることができるのですから。
3:ボーナスは基本給の何ヵ月
他の職種と同じように、勤め先によってボーナスの額が大きく異なります。
ある施設では基本給の4ヵ月分が支給されるのに対し、ブラックな施設では「ボーナス無し」または「寸志レベル」(1~2万円程度)しか出ないところもあります。
基本給がよくてもボーナスがない!ということもありますので注意しましょう。
4:夜勤手当の額
介護職にとって夜勤手当は大きな収入源です。
しかし勤め先によって夜勤手当の額は大きく異なります。
多いところでは夜勤1回7000円の手当がつくところもありますが、ブラックな職場では「0円!」ということもあります。
平均的な夜勤手当は4000~5000円です。
交渉次第で夜勤手当の額も変わってきますので、専属のキャリアアドバイザーの方に交渉をお願いしてみましょう。
5:夜勤の勤務時間
施設介護の現場では、夜勤は大きく分けて2つのタイプがあります。
・短時間型:22時~翌朝7時(9時間拘束・休憩1時間)
・長時間型:16時~翌朝9時(17時間拘束・休憩2時間)
短時間型の場合、夜勤が明けた日が休日となり、翌日は勤務日となります。
長時間型の場合は夜勤明け休み+翌日も休みとなります。
ADHDの方は疲れがたまりやすく、気分転換が苦手な方が多いので、2日連続で休みがとれる「長時間型の夜勤」がオススメです。
6:通勤時間(理想は45分以内)
通勤時間は長く勤務を続けていくうえでとても大きな要因となります。
ADHDの方には通勤時間が1時間以上かかるような職場はオススメできません。
通勤時間は勤務時間ではないですが、実質は拘束されている時間なのですから。
かといって、家から歩いて5分というような激近な職場も考えものです。
休みの日も外に出たら勤め先のデイケアの送迎車を見かけたり、通勤途中の職員とコンビニでばったり遭遇ということがあるからです。
気持ちの切り替えが苦手なADHDの方はこのような環境はさけるべきです。
7:福利厚生の充実度
見過ごしてしまいがちなのが福利厚生の充実度です。
住宅手当・交通費補助・家族手当など、勤め先によってだいぶ変わってきます。
住宅手当は0円~2万円が相場です(施設によっては家賃の7割補助というものもあります)。
交通費の補助は全額なのか一部なのか。
家族手当は子供一人に対していくらつくのか。
などなど、福利厚生の条件によって経済的負担は大きく変わってきます。
働き始めてから「こんなはずじゃなかった……」と後悔しないよう、必ず確認をしておきましょう。
面接時
8:新人教育体制について
新人教育制度の有無の確認だけではダメです。
「どのような新人教育体制なのか?」を明確にしておくことが重要です。
・新人教育の期間はどれぐらいなのか?(理想は3ヵ月)
・どのような新人教育マニュアルを用いているのか?(介護プリセプター制度など)
・新人教育は担当制なのか?(マンツーマン指導なのか?複数担当制なのか?)
この3点は必ず確認すべきです。
理想は使用している新人教育マニュアルを見せてもらい、内容について説明をしてもらえるような職場です。
新人教育について明確な答えが得られない場合、その施設はさけるべきです。
新人教育の期間は介護職としての最初一歩を踏み出す時期です。
この時にしっかりとしたサポートを受けられるかによって、仕事の覚え方・職場の人間関係・介護職としての未来が変わってきてしまうのです。
外的刺激に左右されやすく、ストレスを感じやすいADHDの方にとって、新人教育の充実度は何はさておき重要なことなのです。
9:資格取得援助(理解)はあるか
介護の基本を学べる「介護職員初任者研修」の場合、約3~10万円、介護の基礎+応用まで学べる「実務者研修」の場合は、10~20万円の受講費用が必要となります。
資格取得援助制度がある施設では、その費用を一部負担、あるいは全額負担してくれるところもあるのです。
介護業界でステップアップ=収入アップしていくには、資格の取得は必須です。
働きながら資格取得のための勉強をするというのは、ADHDの方にとっては特に大変なことです。
資格取得費用を一部負担してくれることによる経済的な負担軽減ももちろん重要ですが、資格取得に理解がある=勉強しやすい環境を調節(シフトの調整や先輩からの助言)をしてくれる環境もとても大事です。
10資格手当の額
各種資格手当の額の確認は非常に重要です。
なぜなら多く場合、
・介護職員初任者研修:1,000~3,000円
・実務者研修:2,000~10,000円
・介護福祉士:5,000~30,000円
と施設によって手当の額が大きく異なるからです。
最悪の場合は「資格手当0円!」という超ブラックなところもあります。
努力をしてせっかく資格を取ったのにまったく給料に反映されない!ということがないよう、資格手当の額の事前確認は必須事項です。
11:介護職員の平均勤続年数
その施設がブラックなのかどうかを簡単に見極める方法の一つが、「介護職員の平均勤続年数」を質問することです。
「こちら施設で働かれている介護職員の方々の平均的な勤続年数は何年ぐらいなのでしょうか?」
と率直に質問してみるのです。
この質問に対して明確な返答ができずに口ごもったりする場合は要注意です。
勤続年数の理想は「5年以上」です。
理由は公益財団法人・介護労働安定センターの「平成26年度介護労働実態調査」では、介護業界の平均勤続年数は5.1年となっているからです。
介護職員の勤続年数が長いということは、それだけ職場環境が良いということです。
ADHDの方にとって「働きやすい職場環境」はめちゃくちゃ大事です。
辛い職場環境でも必死に我慢して働く……なんて考えはナンセンスです。
努力や根性では乗り越えることができない問題を、ADHDの方は抱えているのですから。
12:介護職員の男女比率
これ、けっこう大事な確認事項です。
介護の職場は基本的に女性の方が多いです。
職場によっては介護職員の9割が女性というところもあります。
男性の方はもちろんのこと、女性のADHDの方もそのような職場は避けるべきです。
できるだけ男性介護職員の比率が高い職場を探しましょう。
その理由は、男性・女性、どちらかの性別に偏ってしまうと、数的に多いほうの性別の「悪い部分」が明確に合われてしまうからです。
女性ばかりの現場で働くことの大変さは……想像以上です。
世渡りが上手ではないADHDの方にとって、このような職場は絶対的に避けるべきです。
理想の男女比率は4:6、最低でも3:7の男女比率は欲しいところです。
13:勉強会の頻度
勉強会の頻度は未経験で介護の仕事を始めるADHDの方にとって重要なことでありますが、それ以外にも確認する意味があるのです。
それは、勉強会の頻度によってその施設の「介護職員の育成に対する姿勢」=「介護職員を大切に扱っているか」がわかるからです。
職員を使い捨てとしか考えていない施設では、勉強会をほとんど~まったく行いません。
職員を育てて介護の質を上げようとは考えていないからです。
そんな施設が働きやすい環境であるはずがありません。
いそがしい介護の現場であるため、現実的には2~3ヵ月に1回ぐらい勉強会を実施しているところが望ましいです。
施設見学時
(注)大前提として、施設見学は絶対に行うべきです。
書面から得られる情報や面接時などの口頭のやり取りではわからない、現実の介護の現場を知ることができるからです。
とくに以下の3点は最チェック事項です。
ちなみに、施設見学をさまざまな理由をつけて断る施設は論外(ブラック確定)です。
14:介護スタッフの態度(挨拶の有無)
施設見学で高齢者の方々が過ごされているフロア=介護の現場にいくことで、そこで働く介護職員の方々とすれ違うことになります。
その時に明るく「こんにちは」と職員の方々が明るく声をかけてくれるようならばいいのですが、あいさつナシ・最悪ムシ……という場合はその施設は即NGです。
職員同士の人間関係が劣悪か、人手不足が深刻化していていそがしすぎるため心に余裕がないかのどちらかです。
人間関係にストレスを感じやすいADHDに方がそんな施設に入職してしまい、後悔をするのは火を見るより明らかです。
また、フロアに介護職員の姿が見当たらない……という場合もその施設はNGと判断していいでしょう。
人手不足が深刻化している証拠です。
また、高齢者の方々に対して命令口調「ちょっと待っててよ!」、上から目線のタメ口「さっきトイレに行ったばっかじゃん!」という職員が複数みられる場合もNGとした方が無難です。
15:リーダーの人柄
可能な限りリーダーの方とお話をする機会を設けてもらいましょう。
良くも悪くもリーダーの人柄がそのフロア(高齢者の方々が生活されている介護職の現場)の雰囲気=働きやすさを左右するからです。
その施設の教育制度にもよりますが、多くの場合はリーダーの方が新人教育の最終チェックを行う責任者です。
そのリーダーとウマが合うか合わないかによって、これからの介護職人生が変わってくるといっても過言ではありません。
リーダーの第一印象、施設見学者に対する対応(表情・声のトーン・礼節など)を注意深く観察しましょう。
16:利用者の方の様子
・多く利用者の方々が日中もパジャマで過ごされている。
=介護の質が低い(更衣介助が面倒なのでおこなわない)か、極度の人手不足(更衣介助まで手が回らない)という内情がうかがえるからです。
・衣類や車いすの汚れが目立つ。
これも上記同様に介護の質が低いか、極度の人手不足が考えられます。
・泣いている利用者の方が複数みられる。
これは最悪な介護環境の表れです。
その施設は即NGにして間違いありません。
以上の16項目は、ADHD方々が安定して、長期的に働くことができる介護の職場に就職すること=転職を成功させるための「鍵」といえるものです。
ADHDの方は後先考えずに勢いで判断してしまったり、不注意でチェックすべきポイントを忘れてしまったりをしてしまいがちです。
働き始めてから「失敗した!!」ということのないように、このチェックシートをプリントアウトして活用してください。
◎チェックシートのダウンロードはこちら
⇒PDF「ADHDの方専用|求人票・面接・施設見学時チェックシート」
まとめ
ADHDの方が社会に出て人間関係をやりくりしながら働くということは、大変なことが多いです。
40代までに転職を繰り返してきた方はその現実を痛感されているでしょう。
35歳転職限界線を大きく超えてしまっていながら、短期間での転職回数が多いため、なかなか次の仕事が決まらない……家賃も払えず生活してくことができない……というドン詰まりに追い詰められてしまっているADHDの方もいらっしゃるでしょう。
そんな方にこそ介護の仕事があるのだということを知ってほしいのです。
「介護の仕事は人手不足だから就職しやすいことは知ってるよ!でも、4Kっていわれてるブラックな業界でなんか働きたくなんかないんだよ!」
と思われてしまいますよね。
ですが、違うんです。
ブラックな介護の職場があることは事実ですが、そうではない好待遇で働きやすいホワイトな介護の職場もたくさんあるんです!
超ブラック業界の代名詞「飲食業」の中でもホワイトランキング1位:びっくりドンキーや、2位:スターバックスコーヒーなどの優良ホワイト企業があるように、介護業界にもADHDの方でも安心して働けるホワイトな職場はあるのです。
世間にバラまかれている無責任な情報に振り回されていては、ソンな役回りばかりを掴むことになってしまいます。
一人で頑張って、煮詰まっていては先に光が見えることはありません。
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>>介護職専門の転職支援サービスって利用したことがないから、どんな感じかわからないので不安……という方は【知っておくべき!介護職専門の転職支援サイトの8つ基本サービス】をお読みください。
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